友人『〇〇小から来た亜沙希って子はおかしい、変わってる』→確かにその子だけ何か毛色が違っていた・・・が、いつの間にかその子に粘着されるようになり。。

中学に入ってからの話になる。
学校は市内の三つの小学校の生徒が集まっていた。
小学校の時に特に仲良かった友達とは別のクラスになっちゃったけど、
同じ習い事をしていてそれなりに仲良かった他の小学校の子と同じクラスになって
そこから新しい友達も増えて楽しく過ごしていた。
入学からしばらく経つと、他の小学校出身だろうと
良くも悪くも目立つ人は学年で名前が知られるようになって
クラスが違っても名前と顔が一致するようになっていた。
大抵がタバコやっているなどのDQN系の噂だったけど約一名、噂の毛色が違う人がいた。
「○○小から来た亜沙希(仮名)って子はおかしい、変わってる」と言われていた。
隣のクラスに在籍していて、廊下ですれ違った時に友達が
「あの子が例の亜沙希だよ」って教えてくれた。
彼女は小学生のころから見覚えがあった。
家自体は徒歩5分もかからない近さだけど学区が違ったので別の小学校だった。
それでも集団登校している時にすれ違ったりしていたので顔だけは知っていた。
ふくよかな体型とやたらキョロキョロしてる落ち着きのなさが目立っていた。
そしてめったに人の悪口を言わないおっとりした友達が
「同じ小学校だったから言えるけど彼女にだけは関わらない方が良いよ」
と真剣な顔で忠告してきたのを覚えている。
そしてゴールデンウィークに入った。
部活で吹奏楽部に入部した私は、まだ演奏出来るほどの腕もないので
先輩方が市内の祭り?のような行事で演奏するのを観客として見ていた。
同じ部活の友達と私たちも「練習したらああいう風に吹けるのかなー」とワイワイ見ていた。
新入生が固まっている一角から少し離れた所に
派手なショッキングピンクの服を着た子がいた。
何か派手な服着てるなーと目をやると亜沙希だった。
一度視線を向けると目を反らすことができないインパクトがあった。
中1のガキなのにOLが着るようなスーツ、しかもショッキングピンク。
小太りぐらいの体型だったのでパツンパツンだった。
そのくせ靴はダンロップとかそれ系のどこにでもあるスニーカー。
やたら長いつけ爪、しかも途中で落として
コンタクトを探すように地面を這いずり回って探していた。
極めつけは化粧だった。
明らかに肌の色と合ってない白塗り、真っ赤な口紅とチーク。
左右で全然形の違うアイライン、こち亀の両さん並に太く書かれた眉毛…。
化粧とかしたことのない当時の私でも、おかしいと分かるぐらいおかしかった。
その時の演奏はもう覚えてないのに
そっちは鮮明に覚えてるぐらいインパクトが凄すぎた。
親はとんでもない恰好をして外出しようとする娘を何故止めないのか。
友達の忠告の意味が分かった。
数日が経って、部活が終わった後、友達と別れて一人で帰宅していた。
一人になってから家までのルートは何種類かあった。
その日は母にスーパーで買い物を頼まれていたので亜沙希の家の前を通るルートを使った。
彼女の家の門前を通過したら背後でドアが開く音が聞こえた。
振り向くと亜沙希が満面の笑みで私に向かって突進してきていた。
ここが彼女の家なのかうっかり前を通ってしまった人生オワタ\(^o^)/と本気で思った。
「マヤちゃんだよね?あたしは亜沙希!隣のMハゲ先生のクラスだよ!よろしく!ぐふふふ」
「はぁ…」
「ねぇねぇこれから家に遊びに来ない?ね、いいでしょ?ね?ね?」
何故初対面で家に誘うのか。
「いや、私買い物頼まれてるしちょっと…」
断ると亜沙希の態度は急変した。
「何よ!私のことが嫌いなの?」
「みんな仲良くしないといけないって小学校で習ったでしょ!」
「明日先生に言うから!」と道路の真ん中で号泣しだした。
通行人の視線が私たちへと集中する。
そして「おかぁさぁ〜〜ん!!」と泣き叫びながら家へと入って行った。
訳が分からないまま買い物を終えて帰宅した。
翌日登校して友達に亜沙希と会ったことの一部始終を話した。
あちゃ〜という顔をされた後
「マヤちゃん、絶対に亜沙希のターゲットになっちゃったよ…」
と非常に深刻そうな顔で宣告された。
以下、彼女が小学校の時にしでかしたことを箇条書き。
・お気に入りの子は必ずNOと言えなさそうな大人し目の子になる
・相手を決めると、とにかく束縛、束縛
・少しでも気に入らないことがあると泣き喚く
 先生や親には事実を歪めて「自分は悪くありません」と言う
・小学校の時にターゲットにしていた子は
 最終的に不登校になり卒業と同時に県外に引っ越し
・両親に私もその子と同じ所に引っ越すと泣き叫ぶも叶わず
・中学で新たな生贄が見つかるだろう、気の毒にと言われていた
私は小学校の時両親のリ婚騒動が原因で一時軽くいじめられていた。
そのせいか、自分に好意を持って近づいてくる人間に対して拒絶を示すことが出来なかった。
私から漂うそういう雰囲気を嗅ぎ付けて近づいてきたんだと思った。
亜沙希に対しては勇気をもって拒絶の意思を示そうと決心した。
昼休み、亜沙希は私が友達と楽しく弁当を食べているところに突撃してきた。
「マヤちゃ〜ん!お昼一緒に食べよ〜!」
でも私たちの学校は用もないのに別のクラスに入ることが一応禁止されていた。
亜沙希と同じ小学校だったクラスメートからは哀れみの目で見られた。
でもクラスにいたDQNがなぜか助け船を出してくれた。
「おい亜沙希、てめーは隣のクラスだろ!」
「自分のクラスで食えよこのデブが!とっとと視界から消えろ」
暴言でも有難かったしGJと思った。しかし絶対に私の側から離れない亜沙希。
DQNは私たちがいる所まで歩いてきた。
「おいマヤ、ここではっきり言っておかないと
 お前これからずっとこいつに付きまとわれるぞ。それでもいいのか?」
「あ、あの亜沙希…さん?」
「なぁに、マヤちゃん!あたしのこと好きだから離れたくないんでしょ?」
「一緒にお昼食べたいんでしょ?わかってるもん!ぐへへへ(^q^)」
顔を必要以上に近づけてニヤニヤ話しかけてこられて
あ、こいつ生理的に無理だわと思った。
「私はあなたとお弁当を食べたり仲良くしたいとは思いません」
「自分のクラスに戻っていただけますか?」
なぜか敬語になってしまったけどはっきりと言った。
「ほらマヤもそう言ってるだろ?とっととクラスに帰れ帰れ!」
「今度来たら本気でボコるからな」
DQNに加えて彼女と同じ小学校だった男子も加わり、帰れコールに発展した。
するとお約束通り顔を真っ赤にして号泣、先生に言う為に職員室に走って行った。
小学校から話がちゃんといっていたのか私が呼び出されることはなかった。
あとこのジ件で私は亜沙希の次なるターゲットとして学年で有名になった。
翌日からは朝練の為に早く学校に行くと
途中で鼻息荒く亜沙希が追いかけてきて強制的に一緒に登校。
練習の時も部室に侵入して私の練習する様子をじっと見ていた。
ヤンキー系の先輩が「部外者は出て行ってくれる?」ときつめに言うと号泣からの職員室コース。
私まで先輩に目をつけられかけたけど、相手が亜沙希と分かると同情された。
上級生にまで悪名を轟かせているとは…。
亜沙希はバスケ部に入っていた。
最初は同じく朝が早いのは私のス㋣ーカーではなく、
朝練目的かと思ったけど私の部活についてくるのでぞっとした。
その後、私と同じ吹奏楽部に入ろうとしたけど顧問が一癖も二癖もある人で
転校生以外は入学当初の入部しか認めない主義だったので
亜沙希の号泣攻撃でもどうにもならなかった。顧問には本気で感謝している。
以降はもう休み時間の度に教室に押しかけ
何度も聞いた話をコピペのように話してくる。
こっちがどんなに拒否っても、軽く押しのけても
生理前で本気でイラついて口汚く怒鳴っても全部好きの裏返しと思っている。
けど、彼女に絶対知られてはならない最後の砦があった。
それを破られなかったら中学卒業までは我慢しようと思っていた。
亜沙希はGLAYが大好きだった。不幸なことに私も大好きだった。
でもそれだけは知られたくなかった。
バレたら一緒にライブに行こうとか言い出すに決まっている。
非現実的でかけがえのない空間まで亜沙希と一緒にいるなんでおぞましすぎる。
だから一切そういう話はしなかったし、
家族と極少数の親しい友人しか知らなかったし口止めしていた。
この年の夏にGLAYは幕張で20万人ライブを開催した。
母親もファンだったので東京への旅行がてら行くことになっていた。
亜沙希も行きたかったようだけど親からだめと言われたらしく行けなかった。
毎日ライブに行きたい行きたいと喚いていて、心の中でざまぁwwと思っていた。
そう思わないとやってられなかった。
夏休みが終わった。私は無事にライブと東京観光を楽しんで帰ってきた。
体育祭も、文化祭のクラス発表の準備中も
部活発表のマーチング練習すら亜沙希に粘着される日々が続いていた。ノイローゼ気味だった。
母はそんな私に気分転換をしてもらおうと
年末にまたGLAYを見に東京へ連れてってくれた。
カウントダウンは取れなかったけど、LUNA SEAとの対バンは取れた。
GLAYほどではないけどLUNA SEAも好きだったので2階スタンドでも本気で嬉しかった。
亜沙希が「GLAY見たいよ〜テレビじゃなくて生で見たいよ〜」と嘆いてるのがメシウマだった。
冬にスキー林間があった。
クラスごとに経験者、初心者と別れてコーチングを受けた。
私は経験者だったけど亜沙希はこれが初めてのスキーだった。
でも私と受けようと指導の最中に抜け出して
普通に滑っている私の方へと向かってきた。
当然まともに滑れないしこけるし立ち上がれない。
助けて〜という叫びを無視して放置した。
結局亜沙希は諦めて自分の所で練習してたけど、
上達が他の子より遅くて足を引っ張りまくったため
最後はワンツーマンで指導を受けていた。
夜も私の部屋に来るかと思われたけど
引率の先生が部屋で見張っていたので来なかった。心休まる林間学校だった。
そして中2になった。
小学校の時一番仲良かった子と同じクラスになれた。亜沙希とは別のクラスになった。
その上、彼女の担任は学校で一番怖い、去年まで生活指導をしていた先生だった。
彼が睨みを効かせてくれてス㋣ーカーがましになったら…と淡い希望を抱いたが無駄だった。
でもちゃんと亜沙希を連れ戻そうと私のクラスまで来てくれた。
「先生は私とマヤちゃんの永遠の友情を邪魔するの?悪魔!鬼!人でなし!」
顔を真っ赤にして泣き叫びながら、一緒に来た女の先生に自分のクラスまで引きずられて行った。
その後授業を欠席して、彼女の担任と面談した。
DQNが多い学年で、タバコや酒が見つかっただの
トイレでボヤ騒ぎだので学年集会で
マイクが壊れる音量で怒鳴りつける印象しかなかったので
悪いことをしていなくても怒られる気しかしなかった。
でも当たり前の話だが何もしていない善良な生徒には優しかった。
私は涙ながらにGLAYとかのことは伏せつつ今までのことを訴えた。
亜沙希は私の友達には暴言を吐くようになっていた。
「あんたなんかより私の方がマヤちゃんのことをずっと知ってる、私たちは前世からふじこ」
前世ってなんですか?あ、中2だから厨二病を発症したんですね分かります。
恋人繋ぎで手を繋いでくるのも気持ち悪かった。
亜沙希には後日、三者面談もしてきつく言っておくと約束してくれた。それでも変わりなかった。
厳密には面談の翌日だけ亜沙希は一度も私のもとに来なかった。
つまりその翌日からは通常営業だった。
亜沙希の親からは一度も謝罪も、逆にモンペのような理不尽な言いがかりもなかった。
でもこの一年はライブも何回か行けたし、
結構前の方の席で見れたし亜沙希は行けなくてメシウマだった。
当時のGLAYはファンクラブに入っててもチケットは取りづらかった。
入会していない亜沙希が全然取れないのもそのせいだった。
中2の三学期ぐらいになると進路の話も出てくる。
「マヤちゃんは〜どこの高校に行きたいの〜?」
「決めてない」
「あたしはねぇ〜○○女子高校かなぁ〜」
そこはお嬢様進学校として県内はもちろん
近隣の県からも進学してくる生徒も少なくないぐらい有名だった。
専願でも求められる学力はかなり高めだった。
そこを目指す亜沙希は成績いいんだろうな〜と思った。
本人には聞いてないけど性格は破綻してるが頭だけはいいって噂だったし。
亜沙希の前では平静を装っていたけど、
実は私もそこの高校を目指していたので動揺した。
吹奏楽部がかなり強いことで有名だったし、成績的にも射程圏内だった。
「あそこの吹奏楽部は地方大会の常連だし、全国に行ったこともあるんだよ!」
「マヤちゃんも一緒にそこ行こう!あたしも吹奏楽部入る!」
絶対嫌だった。
亜沙希と一緒の高校に行くぐらいなら部活を捨ててでも他の所に進学する。
正直もやもやしながら中3になった。
中2のクラスでクラス分けの紙をもらった。
ありえないことが起こった。亜沙希と同じクラスになった。
目の前が真っ暗だった。クラス分けの紙を見て涙が出てきた。
よーく見るとなぜか男女問わず学年のDQN系問題児と不登校の8割強がこのクラスに集まっていた。
明らかに余りものの寄せ集めだった。友達にしがみついて声を出して泣いた。
教室に亜沙希が飛び込んできた。
「一年間一緒だね、いっぱい仲良くしようね!」
とキスをしかねない勢いで抱きついてきた。学校に行きたくなかった。
中2の頃から部活はともかく普段は友達とあまり話さないようにしていた。
一緒にいると亜沙希に暴言吐かれたり、機嫌悪い時は暴カ沙汰になるから。
私一人が犠牲になった方が良いと思っていた。
今から思うとそれも良くなかったけど。
地獄の一年が始まった。私へのボディタッチはさらに激化した。
休み時間に机に座っているといきなり髪の毛のうなじを触ってきたり
耳元に顔を近づけて息をすごい勢いで吹きかけてきた。
寒い冬に冷え切った手を首元に突っ込んできて胸をももうとしてきたこともあった。
本人はこれも友情の一環だと思ってるからたちが悪い。
でもいいこともあった。
テストの時に出席番号順に座ると私の席からは亜沙希がよく見えた。
彼女はすごい勢いで問題を解くと見直しもせずに
テストが終わるまでずっと挙動不審にしていた。
は?見直しもしないでいい成績取ってんの?と正直信じられなかった。
結局頭がいいというのはただの噂で、
実際は平均点〜ちょい上しか取れない平凡な頭脳の持ち主だと分かった。
志望校なんて夢のまた夢レベルだった。
見直しの習慣をつければいいのにと思ったけど、
そんなことをして成績を上げられて同じ高校に進学されては困るので何も言わなかった。
より勉強を頑張ったら絶対高校は離れる、それを励みにした。
修学旅行になった。クラスごとに別の民宿に泊まった。
カラオケの設備があったので夜は歌いたい奴が歌っていった。
亜沙希がGLAYを歌った。やばいぐらいの音痴だった。
途中でDQN連中が強制終了させた。
「私の歌が上手すぎるから嫉妬したんだよね!」
「高校行ったらアイドルとして歌手デビューするんだ!紅白出るんだ!」
自分の歌を録音して聞き直せ、話はそれからだ。
部屋は厳正なるくじ引きで決められ、違う部屋になった。
当然私の部屋に来たが、担任からうまく言いくるめられた後に
レディースに入る女が世話係?のようなものになって
本気でドスの効いた声で脅して連れ戻しに来てくれた。
「おい亜沙希、いい加減にしとけよ。DQN連中に回されるか部屋に戻るか選べや」
亜沙希は泣きながら帰って行った。
消灯時間を過ぎても話し込んでたけどさすがに眠くなったので寝た。
夜中の3時頃だったと思う。布団に違和感を感じた。
隣で寝ている友達が寝ぼけて入ってきたんだと思ってまた寝ようとした。
胸をもまれた。首筋をなめられた。
絶対おかしいと思って布団を蹴飛ばして電気をつけたら満面の笑みの亜沙希がいた。
本当に怖くて怖くて、悲鳴をあげてしまった。担任が飛んできた。
夜中にも関わらず担任が本気で怒鳴って亜沙希は顔を真っ赤にしてわめいていた。
私はあまりのショックで涙が止まらなかった。
でも亜沙希は私が怖い夢を見たのだと最後まで思い込んでいた。
夏になって水泳の授業が始まった。
前にもちらっと書いたが亜沙希の水着姿はひどかった。
くびれなんて存在しないドラム缶体型だった。その割に貧/乳。
男子の中でズリネタにならない女子ランキング堂々一位に輝いていたらしい。
最後の自由時間で、プールサイド近くにいたら
不意打ちで上からダイブされて、さらに水中で抱きつかれて
上にあがろうにも亜沙希の体が重すぎてできず本気で溺れかけた。
スキンシップの一環だと言い張ったけどこっちはタヒを覚悟したぐらい苦しかった。
秋になって本気で進路を考える時が来た。
私は元からの志望校は大丈夫だろうと塾でも学校でも言われた。
亜沙希も同じ高校に行くと言い張ったが、担任に呆れられた。
「マヤちゃんが内申点を私にあげるって言ってたから、それなら行ける!」
なんて言ってたらしいがそんなこと言ってないし一点もあげたくねえよ。
これで高校は離れることが確定した。
無事に私は志望校に合格した。
亜沙希は結局、自宅から自転車で通える平均レベルの公立高校に入った。
卒業式はもう号泣した。
亜沙希は私が離れるのが嫌で泣いていたけど、
私はもうやっと解放されると思うと嬉しくて涙が止まらなかった。
最後のHRの後、亜沙希に絡まれるのが嫌で
友達との最後の交流を犠牲にしてでも走って帰宅した。
友達とは後日遊びに行ってその埋め合わせをした。
めでたく高校は離れた。
これで中学の時とは違う普通の学校生活が送れる。
GLAY好きな友達が出来たらいいな、とか思っていた…
まず私がそこに進学を決めた大きな理由の部活。
実は私の学年の合格発表があってから
顧問が街でセク八ラか何かで捕まって解雇されていた。
吹奏楽部目当てで入った新入生は落胆した。
新しい顧問は中学時代にちょっとかじっただけのほぼ素人だった。
一応入部したものの、先輩方は元顧問の教え方や情熱に共感して
辛い練習でも頑張ってきた感じだったらしい。
顧問が変わり部内はバラバラ、空中分解を起こしていた。
結局雰囲気も悪く、先輩方も次々に退部していって私も仮入部したけど入るのをやめた。
次に見学に行ったのは軽音楽部。
一応GLAYに憧れてエレキギターをかじっていたので入ろうと思った。
しかしここは最低限のバンド構成の人数が揃わないとダメだった。
中等部から内部進学できたバンドは二つあった。
一つはガールズバンド系、もう一つはバンギャが集まった典型的なV系。
V系にも何一つ抵抗なかったので後者が良かったが、
どちらも既にツインギターにキーボードまでいて定員オーバー。
高校から入ってきた人+内部進学だけど高校からやりたい人を合わせても三人。
私がギターを弾きながら歌ってもよかったが、そこまで器用じゃないので無理。
結局、帰宅部になりました。
入学してから数週間、一度も亜沙希に会うことなく平穏な時間を過ごしていた。
そんなある日、地元の駅まで帰ってきて改札を出て私は凍りついた。
亜沙希が待っていた。
「マヤちゃ〜ん会いたかったよぉ〜!!」
人目を気にせず抱きついてきた。
思わず渾身の力で突き飛ばして、駅前に止まっていたタクシーに飛び乗って帰宅した。
帰ってからも震えが止まらなかった。
折角離れたのに、粘着される日々が続くのかと目の前が真っ暗になった。
入学してしばらくして、友達も出来たけど私は一言も自分のことを話せずにいた。
亜沙希のことがトラウマになったのか、自分の好きなものを言うことが本当に怖かった。
GLAYファンの子はクラスにはいなかったけど他のクラスには数名いた。でも切り出せなかった。
もしあの子が亜沙希みたいなのだったら…と思うと無理だった。
向こうのことを何も知らないのに失礼だなと思われても仕方ない。
そのまま卒業までGLAYのぐの字も言わないままだった。
きっと周りは私のことをつまらない子だと思っていただろう。
次の日も改札を出ると亜沙希がいた。
最寄駅まで自転車で来ていたので、本気で無視をして自転車を飛ばして帰った。
次の日は亜沙希も自転車で迎えに来ていた。完全に無視をして帰った。
思えばとっくに亜沙希は私の自宅を特定しているのに不思議と一度も来たことはなかった。
翌日から亜沙希は私の自宅マンションまで着いてくるようになった。
今日学校でこんなことあんなことがあっただの話してくる。心底どうでもいい。
それに一応進学校だから宿題や小テストも多い。
話している暇があれば机に向かいたい。
「じゃあ、あたしの家で一緒に勉強しようよぉ〜
 マヤちゃん頭いいから分かんないとこあったら教えてほしいな〜」
私はてめーの家庭教師じゃない。
けど嫌な予感がしたので私は部屋にあった
GLAYのCDやビデオや雑誌類やポスターなどを全部別の部屋に移動させた。
何日かして亜沙希と強引に別れた後、エレベーターに乗って家に帰ろうとした。
するとあろうことに亜沙希が一緒にエレベーターに乗ってきた。
「な、何?」
「えへへ〜マヤちゃんの家に遊びに行くの〜」
「は?来んなよ。呼んだ覚えない」
「んも〜今日夢の中で『これから毎日私の家で一緒に勉強しよ♪』って言ってくれたのだぁれ?」
知らんがな。最悪家の前まで来られても敷居をまたがせる気は全くなかった。
鍵を開けて、目の前で頑張って突き飛ばして急いで鍵を閉めた。
そしたらドアをドンドンしながら
「開けてよ〜私が何をしたんだっていうのよ〜」
「ご近所のみなさーん!マヤちゃんは自分で家に呼んでおきながら
 締め出す極悪非道な人間です〜注意して下さ〜い」
なんて叫びやがった。もう怖すぎて泣いてしまった。
家にいた母も状況を把握してくれたみたいで
ドアの外に出て亜沙希をマンションの下に連れ出して
いろいろ話をしたみたいだった。
二時間は話していたと思う。
帰宅した母は「んもー何なのあの子。全っ然話が通じない。キ××イだわ」
「明日親御さんに電話してみるから安心してね」と言ってくれた。
あまり争いごとを好まないので、中学の時は全部担任に任せていたが
これは自ら動かないとだめだと思ったのだろう。
でも亜沙希が勝手に話す中で、両親が共働きで昼間はいないと話していたのを思い出した。
それなら今日電話すると約束してくれた。
夜、何となく会話を聞きたくなくてヘッドホンでGLAYを聞きながら勉強していた。
音楽を聴きながら勉強するのは効率が悪いとか言うけど、その日だけはそうしていたかった。
宿題が終わってもまだ話していた。
亜沙希と同じ高校に行った友達にメールで聞いてみた。
聞くところによると、私が粘着されるのは本当は中学で終わりだったらしい。
でも高校ではいいターゲットが見つからず、
「歌って踊れるアイドルになるの♪」とダンス部に入るも
元々運動神経が人並み以下で孤立し先輩から軽くいじめられ結局退部。
学校に居場所がないから私の元に戻ってきたのだろうと言われた。
冗談じゃない。私は高校で新しい環境で今度こそ楽しい学校生活を送りたかった。
何で私ばかりこんな目にと思った。
共学なんだしせめて高校で彼氏とか作ればいいのにと思っていたが、
あいつはGLAY以外の男は私みたいな高嶺の花と付き合う資格はないなどと言っていた。
ちなみにこの時点で亜沙希が大好きなJIROは結婚していました。
電話が終わった。一言でいうと亜沙希の親は娘に対して盲目すぎな毒親だった。
自分の娘はミス日本候補だの、そんな子に好かれているんだから光栄に思えだの…
「キ××イの子はキ××イね」
普段どんなに理不尽なことがあっても暴言を吐かない母に毒を吐かせたレベルだった。
「絶対うちの敷居はまたがせないから安心して」と言ってくれた。
こういう時、母が専業主婦でいつも家にいるのは心強かった。
それからも粘着は続いたが、何とかマンションの下までで押しとどめていた。
感覚が麻痺してきたのか、一日中一緒だった中3の頃に比べると
最寄駅から家まで、会話を含めても30分だけなんだから
まだましだと思うようになっていた。
放課後はすぐに帰宅せず、下校時刻まで図書館で勉強することを覚えた。
でも亜沙希はずっと待っていた。
遠方の学校に進学した上部活で遅い時間に帰ってきた友達曰く、
体調を崩して学校を休んだ日は夜の9時近くになっても駅で待ってたらしい。
そして亜沙希の学校の方が一週間ほど早く試験週間になり午前で下校になっていた。
わざわざ電車に乗って校門前まで来た。
同じ高校に行った友達がメールで知らせてくれたので、下校時刻になったら裏門から帰った。
入れ替わりで私の学校が試験期間になった。
この時期は図書館が異常に混むので帰宅して勉強することにした。
すると亜沙希は直接家に来た。母が応対した。
しばらく言い合っていたし亜沙希の絶叫する声まで聞こえたが結局帰って行った。
どちらにしろ家に来るなら…とやっぱり図書館で勉強することにした。
夏休みになった。進学校の宿題はやはり多い。
でも毎日少しずつ配分したらそこまで大変でもなかった。
勉強しつつもネットをする時間も増えた。
当時流行り始めていたGLAYの携帯ファンサイトというものを私も作ってみた。
魔法のiらんどとかそういうサーバーでランキングに登録して訪問者を増やしたりするあれだ。
メンバーの名前の漢字と自分の名前を足した痛い名前をつけてやっていた。
雑誌から写メった画像をうpしたり肖像権のかけらもないことをやっていた、ごめんなさい。
亜沙希の父親がIT関係で家にはwindowsもmacも
両方あるってぐらいパソコンには親しんでいたようだった。
万が一のことを考え、名前は自分の本名とは何一つ関係ない名前を。
自己紹介には○○地方某所としか書かなかった。
少しずつ訪問者は増え、サイト管理人同士で交流したりしていた。
いつものようにランキングやそこからリンクを辿ったりしていると
とあるサイトにたどり着いた。
同学年の私が一方的に顔を知っているGLAYファンのサイトだった。
日記に新しい制服☆と題して顔は隠してあったが私の高校の制服がうpされていた。
そしてBBSを見た。亜 沙 希 が い た 。
下の名前だけだが、本名で書き込んでいたので多分ビンゴだと思った。
最初の方の書き込みで、
「○○市に住んでるんです、結構近いですね〜」と書いていたし。
何より亜沙希という名前は仮名だが、本名も結構珍しいのでほぼ確定だと思っていいだろう。
結構な常連のようで「今日から試験なんですね、頑張ってください(^0^)/」とか書いてあった。
何も言わないのに私の試験期間や書いてないけど
各種学校行事を把握してたのはこのせいか。
そしてよ〜くBBSを見ると亜沙希の名前欄がリンクになっていた。
飛んでみると亜沙希の日記だった。
日記の最初はかなり古く、中学入学当初から毎日のように書かれていた。
元々亜沙希の日本語はどこかおかしかった。
中3の時、クスリ防止のビデオを見て感想文を書いたことがあった。
亜沙希に読んで〜と言われ、渋々目を通してなんだこりゃと思った。
「私は覚せ◯剤やシンナーをする人間は大嫌いです」ここまではいい。
「もう絶対にあんなことはしたくないと思いました」
これじゃ前科持ちの反省文じゃねーか。
それは置いといて、日記には毎日がとても美化されて書いてあった。
私を粘着し続けた日々がいかにもバラ色の日々であるように書かれていた。
担任に呼び出された時は私たちの仲をひがんでると書かれていた。
ヒガミとかお前は女神あーたそか。
とにかくこれは、亜沙希がいつGLAYのライブに行くとか貴重な情報源になる。
即ブックマークした。
日記の設定によると、大学は私と同じところに行くと約束しているらしい。
そのため毎日高校の自主参加の補習に通って、プラス個別指導の塾通いもして
私と会うのを我慢して学力アップに専念しているらしい。
動機が何であれ、家に突撃してこないのは嬉しい。
新しくできた友達と遊びに行ったり普通の夏休みを過ごした。
新学期になっていつものように粘着の日々が始まったがマンネリなので割愛。
秋になり文化祭になった。
私の学校はお嬢様系女子校、しかも幼稚園〜大学まで敷地が固まっていることもあり
口リコンから普通の変質者まで幅広い範囲に対応していたため
そっち系のマニアの間では聖地扱いされているらしい。
更に幼稚園〜小学校は共学なのでショタにも対応している。
そんな背景もあり、文化祭はチケット制だった。
私は亜沙希を招く気なんて全くなかったので家族の分しか貰わなかった。
当日、友達と校内を歩いていると誰かに肩を叩かれた。亜沙希だった。
「マヤちゃんやっと見つけたよぉ〜!!」
絶叫しながら首に抱きついてきた。
マジで息が出来ないので勘弁して下さい。
ななななんでここにいるの?チケット制なのに。
校門で変質者が来ないが睨みを効かせている生活指導の教師は何をしている。
聞くと例のサイトをやっているGLAYファンの友達にチケットを貰ったらしい。
そこからずっと半分抱きつかれながら校内を回った。
タヒんだような目で抱きつかれながら歩く私は、みんなの目にどう映っただろうか。
クラス発表でずっと練習してきたコーラスの時間になった。
更衣室で着替えて、体育館裏で最後の練習をしてステージに上がる。
亜沙希は更衣室も、体育館裏での練習タイムにもついてきた。
「あたしマヤちゃんのマネージャなんですぅ〜」と言い張っていた。
その上、歌う曲が知ってる曲だったので
大声で音痴な声で一緒に歌うという迷惑行為付き。
発表本番は客席から私の名前を絶叫して応援するというKYぶり。
ここはライブじゃない、クラスごとの練習の成果を静かに見る場だ。
翌日から私はクラスで孤立気味になった。
私が変なのに粘着されているという噂はすぐに広まった。
変に関わって自分まで粘着されたら学業に支障が出る
ということで以降私に近づく子はいなかった。
唯一仲良くしてくれたのは同じ中学から進学した友達だった。
GLAYファンの子は「自分がチケットを渡したばかりに…」と事の経緯を説明して謝ってくれた。
もう亜沙希はパソコンも携帯もBBSアク禁にしたし、
近隣に住んでるGLAYファンの子には注意するように言っておくと約束してくれた。
サイト見てたから知ってるとは言えず、済んだことだし…と責めることはしなかった。
亜沙希のせいで楽しい高校生活は一年も続かなかった。
以降は孤立した生活だった。
普通に友達と楽しく喋って、放課後馬鹿みたいな話をしてみたいだけ。
何も贅沢は望んでいないのに何で私だけこうなるのだろうと思っていた。
でも神様は見捨てなかった。
普段が暗黒である代償か、ライブの席はやたら良席、神席が来た。
でも今日に至るまで一度もGLAYではピックの類はゲットしたことがない。
亜沙希は高校になりファンクラブ入会が許されたみたいだった。
でも何日に申し込んだとか日記にきっちりと書いていたので
それを避けて、時には地元ではなく違う地方に申し込むことでライブでの遭遇はしなかった。
高2になった。孤立した寂しさも大学こそは亜沙希と離れてやると言い聞かせて
全部勉強へのエネルギーに変えていた。
そんなに特筆することもなくまた秋が来た。
半分諦めていた私は亜沙希が文化祭に来ても来なくても一緒だと思ってた。
どちらにしろ一緒に回る友達はいない。
同じ中学から来た子もクラスが違うので、発表の準備やらであまり一緒にいれない。
やっぱり亜沙希は文化祭にやってきた。
今度はチケットをヤフオクで落としたらしい。
変タイ共と競り合ってでも行きたかったのか…。
文化祭が終わったら修学旅行だった。
孤立した私と一緒の部屋になってくれる子なんていねーよ
最後まで余るんだろ?とひねくれていた。
そしたら同じクラスのバンギャ集団(全員軽音部)が声をかけてくれた。
どうやら入学当初に軽音部に見学に来た時のことを覚えていてくれたみたいだった。
一学年400人超だったので、三つに分けて修学旅行へ行った。
昼間の観光時間などは他クラスの友達と一緒にいれるが
唯一の友達とは日程が分かれてしまっていた。
でも軽音部のみんなが色々話しかけてくれて助かった。
「あの時部室にあったギター弾いてたけど結構上手かったよね?」
「何となくマヤさんからバンギャっぽいオーラがあるなって思ってるんだけど実際どうなの?」
一応音楽に目覚めたきっかけはGLAYではなくhideだったのでそっちの話をした。
Xも好きなので嘘はついてないしいいかと思った。
V系トークでホテルで深夜まで盛り上がった。
久しぶりに学校生活で心から笑えた。
泊まったホテルにしょぼいけどカラオケが入っていた。
行くのは禁止されていたけど夜中にこっそりみんなで行ったのがいいが、
古すぎてXすら紅とENDLESS RAINしか入ってなくて
GLAYも誘惑あたりまでしか入ってなくて最近のV系がなくてしょぼすぎワロスww
バンギャ集団は前から時々やんちゃ?してたけど
今回はその中に私もいたことで結果的に
ただの真面目だと思われていた私の印象が変わったのか
前よりは話しかけられるようになったので良かったと思っている。
もちろん亜沙希にはお土産なんて買ってない。
高3になった。受験が現実味を帯びてくる時になった。
日記と亜沙希が勝手に喋ってくる内容を加味すると
どうやら地元にある女子大に行きたいらしい。
高校で散々男子にいやがらせされて
やっぱりGLAY以外の男はカスだな!と日記に書かれていた。
あと、彼女には弟がいた。
弟は亜沙希を反面教師にしたのか、本当に性格も頭も出来た人間だった。
中学から全国に名前を轟かす超進学校に行き、将来は医者になると言っていた。
実際今は旧帝医学部にいる。
亜沙希の両親は弟のためならばと塾代も惜しまず出したため
とても亜沙希には私大+下宿をさせるような金銭的余裕はないらしい。
ならば私は地元を離れようと思った。
簡単に行けない範囲の大学に行けば
亜沙希もそう易々とス㋣ーカーしてこないだろうと思った。
地元から離れた地方とまだ絞りきれてない志望学部と学力を加味して10校ぐらいに絞り込んだ。
母と亜沙希を避けるためと母の趣味の旅行を兼ねてライブで色んな地域に行っていたので
何となくここに受かったらこの街に住むのかーというのは想像できた。
亜沙希が国公立に行って下宿するという危険はなかった。
とにかく女子大に行きたい、女ばかりの環境で勉強したいという思いしかなかったみたいだから。
その年の夏、大阪でGLAYのデビュー10周年記念のライブがあった。
亜沙希は早々に受験のため欠席を日記で書いていたので気兼ねなく楽しめた。
サイトをやっていて知り合った方とリアルで会う経験もした。
さすがに高3になるとお互い塾やらで忙しくなって粘着はやんだ…ように見えた。
次は亜沙希の手紙攻撃が始まった。
毎日学校であった事を手紙にしたためて
マンションの一階にある集合ポストに投函してきた。
「マヤちゃんも○○女子大が第一志望だと聞きました。学部はどこに行きたいの?」
「私は○○学部です。マヤちゃんもそうだよね」
「私たち運命の赤い糸で結ばれてるもんね」
「マヤちゃん会いたいよぉ…会えないから毎日卒アルの写真を見ています」
「勉強しんどい。模試D判定だった。
 私の学力が足りないせいだよねタヒにたいタヒにたいタヒにたい」
日が経つごとに段々メンヘラが入ってきた。
読みたくなかったけど、web日記の更新頻度も落ちてきていたし
GLAYのライブに行くとか書かれてたのに読み落としてた…
なんてのが怖くて毎日流し読みしていた。
「何で返事くれないの?私のこと嫌いなの?違うよね、忙しいんだよねごめんね」
「会いたくてしかたない自分に罰を与えたくて初めて手首切っちゃいました」
「今日はその血でサイン書くね 亜沙希」
なんて血文字で書かれた日にはもう恐ろしくてしかたなかった。
今までの粘着とは違った意味で怖くなった。絶対離れたいと思った。
だが毎日改札に迎えに来られていた日々を思えば
全く直接的な接触がない今はどれだけ幸せか、そう思い直した。
結果、ダメもとで指定校推薦に校内出願したところ、第一志望に決まった。
二学期早々に進路が決まった。
留年などしない程度に勉強すれば大丈夫だ。
あとは亜沙希がどこでもいいから
この地域の大学に合格すればいいだけの話になった。土日にこっそり下宿先を決めた。
センター試験で亜沙希が絶対家にいない日を見計らって
引越し屋さんに来てもらって9割ぐらいのものを新居に運んだ。
1月から払うことになった家賃も亜沙希とさよなら出来ることを思えば安いものだった。
亜沙希は行きたいと言っていた女子大に合格した。
私は全然違う地方の大学に進学することになった。
これでもう大丈夫だと思った。
大学生になった。と書きたいけど少し高校編と大学編の間の番外編的なものを書く。
センター試験後から新居の荷物整理と
亜沙希と会わないことを兼ねてほぼ進学先に住んでいた。
登校日だけ前日の夜からホテルに泊まるという徹底ぶり。
少し解放された私は新居でGLAYをBGMに
一日中パソコンに向かいネットをするだらけた生活を満喫していた。
ふと思い立って亜沙希の本名でググってみた。
2ちゃんの高校スレでも、外部掲示板でも伏せ字なしで叩かれまくり。
自称中学の同級生が降臨して中学時代の私への粘着をぶちまけ、軽く祭りになっている時もあった。
そこから読み取れたのは亜沙希は予想通り高校でも浮きに浮いて
主にビアン系の数々の問題行動を起こしていたらしい。
修学旅行でも一緒の班に誰も入れてくれず、
押し付けられたグループは亜沙希に振り回されたらしい。ご愁傷さまとしか言えなかった。
男子は亜沙希のターゲットにならなかったのである意味幸運だと思う。
その頃少しずつ知名度を上げていたmixiに私も登録した。
でもネットに本名を晒すのはリスクがありすぎると思っていた。
名前も年齢も出身地等も全て偽って登録していた。
コミュも地元を連想させるものや母校のものには入らず
大学の新入生コミュ、その他GLAYなど音楽関係のコミュに入った。
音楽系のものは参加人数の多い所にしか入らなかった。
亜沙希の日記は進路が決まるとまた頻繁に更新されるようになった。
そこで「実は結構前からmixiやってて(ry」という一文を発見した。
ご丁寧にIDまで晒してあった。でもそのまま見に行くへまはしない。
この垢は大学で出来る…と信じたい友達と交流する垢にするつもりだった。
うっかり足跡をつけてGLAYファンだと分かるとマイミク申請とかされて付きまとわれそうだ。
当時は複垢作り放題だったので2ちゃんの招待スレで
初心者を装って招待してもらい、亜沙希のページを開いた。
まずTOP画がおぞましかった。
サギろうとして明るくしすぎてほぼ真っ白な平安おかめ笑顔のドアップ。
夜中に真っ暗な部屋で見たら軽くホラーだ。
亜沙希の顔の例えを思い付いた。
ちびまる子ちゃんのみぎわさんの顔のパーツを少し小さくした感じだ。
自己紹介は意外に普通で普段の狂気のかけらもない。
マイミクもそれなりの数がいた。
軽く見ると全国いろんな所に住むGLAYファンだった。
コミュ経由で手当たり次第申請しまくったのだろうか。
日記はマイミク限定っぽかった。
さっそく新しい垢をバリバリのGLAYファン仕様に変えた。
そして「コミュから来ましたー♪私もGLAY大好きなんですー」と書いてマイミク申請した。
すぐに承認された。ktkrと日記を見に行った。
マイミク申請したことを後悔した。
web日記からは読み取れない狂気に満ちていた。
私が亜沙希に黙って進学したことで完璧に病んでいた。
私の本名をフルネームで晒して通ってた高校も晒して
会いたい会いたい情報を知ってる方教えてくださいお礼は何でもしますと書いてあった。
高校は玄関を入ると卒業生の進路が学校ごとに張り出してあって
何人国公立に受かりました(ドヤ顔)と言わんまでの景色になっていた。
一応亜沙希凸を恐れて私の名前は載せないよう言っていた。
案の定実際に高校に突撃したが私の名前を見つけられなかったため
同窓生に片っ端からメッセを飛ばしているらしい。
マイミクになった50人弱も引いてるようで、毎日日記を書いてるのにコメントはほぼ0だった。
マイミクからの紹介文は一つもなかった。
アルバムにはリスカ画像もあった。
普通のリスカ画像なら平気だが、私の名前を腕に刻んだ画像はさすがに気分が悪くなった。
でも自衛のためにマイミクは切らずヲチ続けることにした。大学生になった。
気合い入れて大学デビューしても引かれると思ったので暗めの茶髪にした。
入学式はチャラ男っぽいのに挟まれて誰とも何も話せずに帰宅した。
次の日の学部オリエンテーションから話す友達が出来た。
私の学部はクラス制だった。
同じクラスの沙織という子の携帯にGLAYのストラップがついているのを発見した。
何回か話したり一緒にごはんを食べたりして、亜沙希のおかげで身についた
電波女レーダーに反応しなかったのでカミングアウトした。
今でも一緒にライブに行く仲だ。
亜沙希は相変わらず大学でも友達が出来ないようだった。
同じ学部に高校の同級生がいるらしく、
その子が新たなヒガイ者を出さないよう色々言っているようだった。
「私が何をしたって言うの?」
「学校のアイドルで人気者だった私をひがんで陰口を言う性悪女!最低!氏ね!」
などと日記にぶちまけていた。
多い時で80人近くいたマイミクは気付けば20人以下に減っていた。
そんなある日、珍しく明るい内容の日記があった。
「夢の一つが叶いました♪またご報告します☆」
なんて書いてあり、何があったのかと思った。
入学して初めてのGWだった。
その日は友達と朝から遠出する予定があって、朝から登校するのとほぼ同時刻に家を出た。
家はオートロックの女子限定マンションだった。
敷地から出て駅へ向かおうと歩いてると肩を叩かれた。
近所に住む友達だと思って「ちょっとーびっくりさせないでよー」と振り返った。
笑 顔 の 亜 沙 希 が い た
夢かと思った。夢であってほしかった。
何でここまできたの?どうやって家までつきとめたの?と疑問が脳内を駆け巡った。
チカンに遭ったような奇声をあげて全速力で亜沙希から逃走した。
高めのヒールの靴を履いていたので途中何回かこけてスカートがちょっと破れた。
けど気にせず走ってタクシーを見つけたので飛び乗った。
待ち合わせには間に合ったけど友達みんな、異様な格好をした私に驚いていた。
「ちょっと家から変な人に追いかけられて…」と誤魔化しておいた。
その夜は家に帰るのが怖かったので離れた所に住む麻樹という友達の家に泊まった。
翌日も怖くて帰宅出来なかった。
どうしようもなかったので、麻樹に全部話して
家の鍵とオートロックの番号を教えて着替えを取ってきてもらった。
「マンションの前にマヤちゃんに教えてもらった通りの女がニヤニヤしながら立ってたよ」
「すみませんこちらに住んでるマヤちゃんって知ってますか?ってすごい勢いで聞かれたけど
 申し訳ありません他の階の人のことは名前も分かりませんって言っておいた」と言われた。
ちなみに深夜2時過ぎの話だった。
麻樹は中高と少林寺拳法をやっていたので
深夜でも大丈夫大丈夫〜チカンなんか逆に捕まえてやるからー
と自信たっぷりに制止する私に耳を傾けずに行ってしまった。
逆に言うとそんな時間まで亜沙希は私のマンションの前で待ち伏せしていたということだ。
お前がチカンに襲われろス㋣ーカー。
すぐに家から出てきたら麻樹が怪しまれるので、翌朝まで私の家で寝てもらうことにした。
あとマンションの玄関からは廊下が見えないので
仮に部屋番号までバレてても麻樹に危害が及ぶことはない。
麻樹の家には結局GWが終わるまでお世話になった。
亜沙希も学校があるのか帰って行って平穏な生活が戻った。
GWの間ずっと、亜沙希のmixi日記は更新されなかったのが逆に不気味だった。
よく考えたらずっと待ち伏せしてたら携帯の電池もなくなるよね。
もしかしたら学校が特定されたなら本当のmixiページも見つかるかもしれない。
今の所不審なあしあとはついていなかった。
急いでGLAY臭を消した普通の垢に変えた。
亜沙希は以降何度も私のページにアクセスしてきたけど
決定打がなかったのか一度もメッセは来なかった。
相変わらず亜沙希はネット上で沈黙していた。
不気味に思いつつしばらくは普通に生活していた。
そんなある日、授業が終わって帰宅し、この角を曲がれば家だという所まで来た。
角を曲がった瞬間ものすごい衝撃を全身に受けた。
それが亜沙希のハグだと気付くのにしばらく時間がかかった。
ものすごく香水臭い。一瓶丸ごと頭からかぶってきたのかというぐらい臭い。
「マヤちゃん、やっと見つけたよ!もう離れないし離さないから!」
そして顔を近づけてきてキスしようとしてきた。
必タヒに逃げたけど体格のいい亜沙希の怪力には勝てない。
向こうも女なのでアソコを蹴る訳にもいかない。
キスをした。唾液まで流し込まれた。
亜沙希の手は私のアソコへと伸びていた。気持ち悪くて胃の中のものを吐いた。
すると「変なもの食べた?そうか、学食で食中毒になったんだね!」
「許さない!K察に通報する!」
通報されるのはお前だス㋣ーカー女。どうして私の学校が分かったのか。
mixiでメッセを飛ばした同窓生が何も考えずに親切心で教えたのか。
理由は犯罪スレスレのことだった。
4月から地元郵便局の内勤のアルバイトを始めたらしい。
年賀状の仕分けのバイトをしたことがある人ならここで察しが付くだろう。
家ごとに郵便物を分けるのが主な仕事だが、
細かい地区ごとに一軒ごとの家族構成一覧表みたいなものがある。
そこにはどこそこに転出しただの、○○宛の郵便だけはここに転送、など個人情報の塊がある。
年賀状の仕分けをした時、これが都内の郵便局ならGLAYの住所(ry
などと邪な気持ちが頭を巡ったこともあるが、ここは地方都市なのでそんな情報は載っていない。
だが亜沙希はそれを見て家を突き止めたそうだ。
学校近くの家にしたのも災いして一気に進学先まで特定。
リアルにorzとなった。そのお金で夜行バスでここまで来たらしい。
でもバイトをクビになったので次いつ来られるか分かんないよぉと言っていた。ざまぁw
そして「家に上がっていい?」と聞かれたが
私の部屋はもう自重しないGLAY部屋と化していた。
家に入れるぐらいならタヒを選ぶ。
散らかっているからまだ今度ね、それに私の家Gが出るんだと
大家さんごめんなさいな嘘をついて
何とか近くの定食屋で夕食を共にすることで妥協してもらった。
帰り際「今度いつ会えるか分からないよぉ寂しいよぉ…」
「マヤちゃんも一緒に帰ろうよぉ」と号泣していたが放置して帰宅した。
生まれて初めてタヒにたいと思った。数日後亜沙希はmixi日記を更新した。
もうweb日記は放置状態だった。
「運命の人に再会できました♪」というタイトルだった。
内容は私と再会したかったけど、周りに私の美貌をひがまれて邪魔ばっかりされて(ry
GWに私が逃げたのは悪魔か何かが私に怖い幻覚を見せて
二人の仲を切り裂いたことになっていた。
リアルにこんな顔でパソコンを見つめていた( ゚д゚)
極めつけは日記に添付されている写真だった。
数日前に待ち伏せされた日の朝、私が登校する様子を携帯で盗撮していた。
イヤホンで音楽を聴きながら歩いていたのでシャッター音に気付かなかった。
学校の友達みんなに事情を話して、教室凸も亜沙希ならやりかねない。
GLAYがどうだ〜とかの話はなるべくなしで頼むとお願いした。
何でこんなことお願いしないといけないんだろうって涙が出てきた。
でも高校と違って理解ある友達だったことが救いだった。
亜沙希は中々新しいバイトが見つからないようだった。
「きっと私の美貌で客が増えすぎたら困るから雇わないんだ!」
と果てしなく的外れなプラス思考だった。
高校の時は小遣いを貰ってたけど、毒親にしては珍しく
大学は自分の遊ぶ金は自分で稼ぐように言われてるらしい。
どんどん貯金ばかりが減って行ってるようだった。
なのにリズリサとかそういう系の服ばっかり買って日記にうpしていた。
自称史上最強のセレブなミス○○大なので
お洒落にはしっかりお金をかけないといけないらしい。
そういう可愛い系はせめてあと10kg痩せてから着ろ。
でもそうして浪費してくれたら私に会いに行く金がなくなるので
逆にありがたかったしいいぞもっと服買えと思っていた。
亜沙希がこっちに来ないまま前期試験を終えて夏休みになった。
言い忘れていたが、サークルは今度こそ軽音部に入った。
沙織はJIROに憧れてベースをやっていたので一緒に入った。
顔合わせで同類っぽい匂いを感じた子達とバンドを組み
GLAYなどそのへんのコピーバンドをはじめた。
オリジナル曲を作る才能はなかったのでコピーだけだったけど。
文化祭で演奏したりしたがそれは別の話。
大学生活にも慣れてきた私は、家から自転車で15分ぐらいの所にあるカフェでバイトを始めた。
恐怖の成績渡しも無事に単位が取れて秋になった。
亜沙希は短期バイトや日雇い派遣すら一日でクビになる有様だった。
夜の仕事なら一気に稼げる!と始めたが、入店1時間でクビになったらしい。
何でもちょっと酔った客が太ももを触っただけでチカンだの通報するだの騒いだ挙句、
パニックになって客が飲んでいた焼酎やらをぶっかけたそうだ。
やったことないけどその程度で騒いでたらキャバなんてやっていけないと思う。
あとミスコンに申し込んだけど書類審査で落ちたそうだ。
お高い写真屋にいってヘアメイクまでしてもらった渾身の写真でもだめだったらしい。
と言う訳で文化祭は亜沙希が突撃することもなく心置きなく楽しめた。
部活の発表も亜沙希を気にせずGLAYを演奏出来てとんでもなく快感だった。
文章は淡々としてるけど本当に快感だった。
実家に帰りたくても帰れないまま年が明け、後期試験も終わって長い春休みになった。
大学生の春休みは本当に長くて貴重だ。
久しぶりに武道館であったGLAYのライブに沙織と行き
友達とグアムでエステをしてもらい、バイトもしていた。
二年になった。
本当に仲いいのは女子だけど、普通に男とも学校では話すし彼氏はいないけどリア充っぽかった。
高校みたいにぼっちになったら便所飯も覚悟してたけど正反対な毎日だった。
亜沙希の単位落としたお金も底を尽きたアクマノシワザヤーな
タヒにかけ血みどろ画像の日記を鼻で笑う余裕もあった。あったんです。
何事もなく夏も終わり秋になった。
思えば一年以上、亜沙希に会ってなかった。
このまま私への粘着をやめてくれたらいいのにと思った。
が、文化祭の一週間ほど前からいきなりとてつもなく明るい日記になった。
嫌な予感しかしなかった。案の定また亜沙希が待ち伏せしていた。
心の準備をしていたので驚きはしなかったが、なぜか私の家に上がるとは言わなかった。
それどころか○○ホテル(結構お高いホテル)のディナーごちそうしてあげる♪って言われた。
後日ネットで調べたら一番安いコースで一人一万円以上する。
断ったら目の前で手首を切られかねないのでついて行った。
袖から見えるリスカの跡が生々しかった。
家からホテルまではバスで15分ぐらいだった。しかし亜沙希はタクシーを呼んだ。
料金は全部亜沙希持ちだった。ディナーも全部払ってくれた。
その上「スイートルーム取ってあるから一緒に泊まろう♪」って言われた。
「マヤちゃんは私の運命の人なんだからGが出るようなボロ家なんか住んだらだめ!そんなの私が許さないんだからぁ〜(絶叫)」
断ると案の定泣かれたが、他の人の目もあったので放置して
ホテルの玄関に止まっていたタクシーに乗って置いてきた。
その夜、家には突撃してこなかった。
次の日もその次の日もホテルに誘われたが断った。泣いても喚いても断った。
亜沙希は毎日スイートに泊まっているようだった。
あれだけ金がないって言っていたのにどこからそんな金が出ているのだろうか。
身体を売っているのだろうか。
でもキャバ体験入店であんなことをやらかした亜沙希がやるとは考えにくい。
そのまま文化祭が近づいてきた。
非常にやばい。今回も演奏曲の中にGLAYがある。
沙織経由で知り合ったヲタ友達が来てくれて
最前でGLAY以外も全曲ライブ同様に盛り上がってくれる約束になっていた。
一応mixi日記で事の経緯を説明はしてあるけど、今更演奏曲を変える訳にいかない。
ない頭で考えた結果は終わった後、楽器の片付けを他の子に任せて
亜沙希を私が連れ出して、なるべくヲタ友達との接触を避けるようにすることだけだった。
あ、沙織は普通のmixi垢とGLAYヲタ丸出し垢の二つを使い分けていたんで
亜沙希から何かあったということはなかったです。
当日、亜沙希はずっと抱きつきながら文化祭についてきた。
高1の文化祭の悪夢がよみがえった。
我慢して時間になるとちょっとごめんと亜沙希を放置して
大きく迂回して全力疾走で舞台裏に向かった。
陰から見ていると亜沙希はステージからどんどん離れた方向へと私を探しに行った。
これでよしと思ってステージに上がった。
全部で四曲演奏することになっていた。
一曲目はGLAYじゃなかったので何もなし。
二曲目も大丈夫。三曲目がGLAYだった。
ボーカルが本人と同じようにタイトルコールをする。曲が始まった。
しばらくして顔を真っ赤にした亜沙希が笑顔で歌いながら全力疾走してくるのが見えた。
ホラーだった。更にステージ上に私がいることに気付き大興奮。
でもステージ前は結構人が密集してたので
亜沙希の巨体じゃ人の間をすり抜けられなかった。
何度も押しのけようとして、近くにいたガチバンギャっぽい子に
本気でキレられててざまぁと思いながら演奏した。
最後の曲もGLAYではなかった。
亜沙希はずっと手をキリスト教の祈りのように組んで私をガン見していた。
終わって片付けをお願いして亜沙希の所に行った。
もう興奮しすぎてて何をしゃべっているのか分からなかった。日本語でおk。
翌日も文化祭に着いてきたが、昼を食べたら携帯を見て
「じゃ、私帰るね。次いつ会えるんだろ…」
とテンション低く帰って行った。
最初から最後まで訳が分からなかった。
数日経って実家から電話があった。
何事かと思って出ると、少し前から亜沙希の家の前で
ヤのつく職業っぽい人が入れ代わり立ち代わりで怒鳴っているらしい。
金返せとか借金の取り立てのようだった。
あの異様な羽振りの良さはサラ金か何かで金を借りたのだと思った。
家の通帳から金をおろすとかまだ穏便に済ませる方法はあっただろうに…。
日記を読むと両親が全額返したみたいだった。
異邦な利息なら返さなくていいとかあるけど、その辺はどうしたのか分からない。
文化祭の私の演奏は生き神様とか天使とか電波な内容が書いてあった。
それと前後して亜沙希は当時携帯サイト界隈で
流行りに流行っていたリアルタイム日記と言うものも始めた。勿論ブックマークした。
サラ金ジ件で懲りたのか、しばらく亜沙希は私の所に来なかった。
お年玉でGLAYのアリーナツアーに行こうとしてたけどファンクラブなのに落選してた。
成人式は言うまでもなくこっちで写真だけ撮って当日は出なかった。
亜沙希は黄緑色みたいな変な柄の着物を着ていた。
いくつかあった何故通報しなかったかという質問は多そうなので先に書きます。
さすがに家まで来られた時は正直、通報しようか迷いました。
でもこの手のメンヘラはカッターなどを持ち歩いていると思います。
通報して警官の前で自刹未遂でもされたら、
それでもし切る場所が悪くて本当に氏んでしまったら
逆にこっちが参ってしまうと思ってそれが怖かったんです。
普段はネラーっぽく?氏ねばいいのにとか本気で思っているのに、
本当にタヒなれる可能性あると怖気ついてしまうあたり私は甘いと思っています。
そういう優しい面を見せるから粘着が止まらないんだ
という意見は正論ですし言い返せないです。
亜沙希がメンヘラ臭のない超ポジティブ電波だったら
話は別で問答無用で通報していたでしょうけど。
大学2年の春休みになった。
沙織とはGLAYの故郷、函館に行く計画を立てていた。そしてライブの予定もあった。
亜沙希がチケット取れてないことと、
知り合いがチケットをだぶらせていたので私の地元にも行くことにした。
一応変装はしたけど…。
ライブが終わり、座席が出口のすぐそばだったので割と早めに会場を出た。
そのままホテルに向かうために最寄駅へと歩いて行った。
ホームに行くと見覚えのある顔があった。
亜 沙 希 だ っ た 。
沙織も亜沙希に気付いて、電車一本遅らせよう!と人の流れに逆行して逃げようとした。
でも次から次へとライブ帰りの客がホームへと来て
流れに逆らえずどんどん亜沙希との距離は近づいていく。
ライブハウスで人の流れに流されてもみくちゃになってしまう感じと言ったら分かるだろうか。
流れに逆らうのは亜沙希級のピザでも無理なぐらいの強さで一定方向へ押されていった。
そして下を向いていたにもかかわらず気付かれた。
今までの人生でこの時ほど人生オワタ\(^o^)/と思ったことはない。
亜沙希の異常で周りに多大な迷惑をかけるテンションはみんな想像できるだろうから割愛。
とにかく言い訳をすることに終始した。
同じバンドにいる沙織がGLAYファンなことと、
一度私の地元の都市に来てみたかったのでチケットを取ったこと。
文化祭でやる曲と最近新しく練習をはじめた曲はライブの定番曲なので(これは本当)
一度生演奏を聞いてみたくて私も行ってみたことにした。
単純な亜沙希は納得した。
「初めてGLAYを見た感想はどう?」
「ね、マヤちゃんもファンクラブ入ろうよ!一緒にこれからライブ行こうよ!」
周りにいっぱいいるGLAYファンにもメンバーにも
本当にごめんなさいと心の中で土下座しながらお断りした。
結構きっぱりと断ったのと亜沙希が降りる駅になったので話はそこで終わった。
亜沙希がちゃんと降りて、また違うドアから乗ってきていないことを確認してから
話を合わせてくれた沙織に感謝した。
そしてメンバーにごめんなさいごめんなさいと
電車の中なのにひぐらしの羽入みたいに言い続けた。
ホテルに帰って亜沙希のリアルタイム日記を見た。
直前に譲ってくれる人をmixiで発見したようだった。
開演数時間前に確認して、
もう大丈夫だろうと安心しきっていた自分の心の緩みが招いたことだと猛省した。
それ以降は今日に至るまで亜沙希とGLAY関連の場で遭遇したことはない。
亜沙希はジ件以降親に結構厳しく監視されているらしかった。とても有難かった。
おかげで函館旅行は楽しめたし、バイト先の人から告られて人生で初めて彼氏と言うものが出来た。
その彼氏とは一年ちょい続いたが脱線になるので書くつもりはない
そして三年になった。
夏が終わって文化祭になっても亜沙希は来なかった。
身構えてたので拍子抜けした。
実際は親の財布から金を抜いて強行突破しようとしたが親に連れ戻されたらしい。
その一部始終はリアルタイム日記に生々しく書かれていた。
また話は前後するが、ライブでの遭遇より少し前から
亜沙希は某ブログで自称オフィシャルブログを始めた。
フォトショか何かで加工したんだろうけど、
加工しても残念すぎる顔面がバナー?にドーン!と載っているグロブログだ。
私の所に行けない程度に小遣いを貰っているようで
買ったコスメや「さっそく使ってみました〜」という感じで
自撮り写真という名のグロ画をうpしていた。
コスメの画像を写すのはいいが、
必ず自分のリスカ跡沢山の手首とともに撮影するのはどうかと思った。
そこにも定期的に会いたい人がいます・・・と
恋愛中な私輝いてるキャハッな改行を多用した自己陶酔ポエムを投稿していた。
私に会いたいなら少ない小遣いを貯めたらいいのにと突っ込みたかったが
自称セレブ(笑)なのでお金を使わないといけないらしい。
そのくせうpしてるのは100均コスメだった。
ライブで遭遇した後は「最高のシチュエーションで再会できました」と書いてあった。
こそこそ逃げようとしていたのも、勧誘?を断ったのも脳内消去されていた。
同じライブを私も見ていた、それだけで良かったらしい。
自分で作ったバナーにするのは別料金らしく
最終的に払えなくなったのか今はそのブログは残っていない。
VIPの安価でどこかのブログに凸しようぜww的なスレで晒したら
絶対ネットwatch板にスレが立ったレベルだった。
やりたい衝動に何回も駆られたが、
閉鎖でもされたらまたGLAYのライブで遭遇する危険性があったので耐えた。
偶然でも見つかって晒されなかったのが今でも不思議だ。
ライブで会ってからは高3の時のように手紙攻撃が始まった。またか…と思った。
手紙の所々に鉄の臭いがする赤黒い染みがついていた。
最後は「マヤちゃん愛してます 亜沙希」と文章は日によって違うものの血文字だった。
私への手紙へプラスして沙織への手紙もあった。
GLAY友達になってくださいとかマイミクになってくださいとか
私がファンになったきっかけはふじこふじこ。
最後はお約束の血文字。沙織には教えずに捨てた。
毎日今日は講義でこんなこと習っただのつまらない話を書き
何故か私と一緒に昼食を食べたことになっていた。
今日はロースカツ丼定食と足らなかったから
単品でから揚げとポテトサラダと肉うどんも追加したよ。
マヤちゃんは焼き魚定食だけでよくお腹がすかないね、だから細いんだね。
脳内で繰り広げられている出来事なんて知らんがな。
毎日そのぐらい沢山の昼食を学食で食べているようだった。
そりゃいつまでもドラム缶体型から抜け出せないわ。
時にはノートを取ったルーズリーフが同封されていた。
亜沙希の字はとっても汚い。
高3の手紙攻撃の時より更に汚くなり、判読不能な個所もあった。
時には「私の血です、食べてください」と
血みどろのカッターナイフの刃?が大事にティッシュにくるまれて同封されている時もあった。
捨てて自分の手はアルコール消毒した。
ちょっとこっちの気が滅入りかけたけど
生理用品や排せつ物を同封するマジキチの話をどこかで読んで
私はまだましなほうだと思うようにした。
この頃亜沙希は精神系の病気が理由だと思うが
いわゆる障碍者手帳を取得したみたいだ。
書いてないけどODやらなんやらで何回がやらかしたようだし。
制度についてはよく分からないけど、支給されるお金は両親に管理されているようだった。
毎月お金が湧いてくる夢のアイテム♪とコメント付きで手帳の写メがうpされていた。
その後全額自分で使えないことでアクマノシワザヤー状態になっていた。
また夏が来て秋になって年が明けて就活が始まった。
亜沙希と直接会うことはないけど祈られて落ち込んでる時に
血まみれカミソリ攻撃は結構精神的にきついものがあった。
思い切って引っ越すことにした。
少し学校から離れるけど、週1のゼミ以外は登校しなくて良くなってたので。
住所を変えたら手紙が来なくなって一気に気持ちが楽になって内定を頂くことが出来た。
亜沙希の日記はもう目も当てられない状態だった。
今まではODしても部屋の中で眠り続けて失禁したりなど
家庭内での騒ぎでおさまっていたが
ついに救急車で運ばれた時はちょっと心が痛んでしまったあたり、私は甘いと思う。
秋にリーマンショックの影響で内定取り消し地獄になった学年だったが大丈夫だった。
私の引越しに合わせて実家の方も元の地元から電車で40分ぐらい離れた市に引っ越した。
「マヤちゃん一家が引っ越した、悪魔にそそのかされたんだ」
「私が守ってあげないといけなかったのに」
「タヒにたい頸動脈切ってしまいたかったけどためらい傷しかできなかった」(ry
「どこに行ったの私から一生離れないって来世も一緒って約束したじゃない」(ry
こんな感じの日記だった。
内定先の配属希望は亜沙希から離れたい一心でまた違う都市にした。
結果希望が通ったので嬉しかった。
友達と卒業旅行に行って、卒業式を終えてまた引越しをして社会人生活が始まった。
亜沙希は卒業はしたものの内定を貰えないままだった。
リアルタイム日記でもブログでもmixiでも自分が綺麗すぎて人事が引いてた
美人ってほんと損よねオホホホと書いていた。
手首に留まらず手の甲までリスカ跡だらけなことに引いたんだと思う。
あとリクルートスーツ姿に似合わないケバすぎるキャバ嬢みたいな化粧はどうかとおもった。
社会人になった。
同期や同じ部署の先輩方や上司もいい人ばっかりでまったり働いていた。
2ちゃんでよく見るブラック企業とかサビ残とかそういうのは無縁だった。
忙しくて残業したらきっちりその分は月給に上乗せされて返ってきた。
夏にGLAYのデビュー15周年記念のライブがあった。
亜沙希は卒業後働いているような感じはなかったので
障碍者年金?を貯めたんだと思うけどライブは二日あって両方来た。
でも7万人もいる中で私を見つけるのは厳しかったようだ。
チケットの座席もうpしていて、私と全然違う場所だったから
日記類をチェックしつつ変装して開演ギリギリに会場に入れば問題なかった。
ライブ初日の夜に沙織の友達で私も結構仲良くしている子が
主催して会場近くの居酒屋でmixiのオフ会があった。
少人数だったけど女子の割合が少し低いってことで
私と沙織も人数合わせのような感じで参加した。
そこにいた参加者の一人が今の彼氏だがこれも亜沙希とは関係ないので割愛。
数か月して、じわじわと登録人数が増えていたtwitterに登録した。
ライブ友達、リアル友達から同じように勧誘されていた。
一応垢を使い分けるようにして、ライブ垢は非公開にした。
亜沙希のことがあるからリアル友達用の公開垢も今現在いる場所とかが分からないように
もしそういう流れになった時はDMやリアルメールでやりとりするように気を使った。
そんなある日、フォロワーが一人増えた。
亜 沙 希 だ っ た 。
私のサイトが見つけられるかも!と、
中学時代に仲良かった子のサイトやweb日記など全部ブックマークしていて
その子がtwitterをはじめたとなったら監視してついに見つけたようだった。
何で特定されたかと言うと、もちろん亜沙希にメアドなんて一度も教えてない。
厳密に言うと大学時代に自宅凸された時に無理やり携帯を奪われて中身を見られかけたが
GLAYの画像やらが入りまくった携帯なんて見せられるわけがない。
何とかなだめて、ちゃんと送るからと言い聞かせて赤外線送信した。
もちろん速攻メアド変更、直後から鬼のようにかかってくる電話は
亜沙希の番号だと思って拒否にしたけど。
私と仲いい地元の子が偶然亜沙希に会った時
突然ものすごい勢いで携帯を奪われ、私の名前を見つけると
メアドを調べてメモって笑顔で携帯を返されたらしい。
リスカ跡大量のピザに迫られたらびびっても仕方がないので別に怒りはしなかった。
当時のメアドについていたとあるフレーズ?がtwitterのアカウントと同じだった。
GLAYは全然関係ないのでその心配はなかったけど、それで特定されたようだった。
フォロワーは主に中学時代と大学時代の友達だったし。
主に眠い…だの社食ウマーだの普通のことしか呟いていないけど
亜沙希はその全てに長文返信をしてきた。
「@私 マヤちゃんおはよう!今日の○○(地元の地名)は雪が降っていて寒いです」
「マヤちゃんの所はどうかな?どこの県に今はいるのですか?教えてくれたらとっても嬉しいです」
と最初の頃は返信頻度はともかく割と普通の内容だったが、だんだん内容が壊れてきた。
つぶやいていないのにひたすらリプライをしてきた。
怖くなったけどリムーブ?したらもっと悪化しそうだったのでブロックに留めておいた。
亜沙希をフォローしてる人は私以外誰もいなかった。
そのうち亜沙希はツイートを非公開にした。
呟くときはExif情報とかよく分からないので
念のために写メはうpしないように心がけるようにしていた。
自分のフォロワーがどこに住んでいるのかわかるサービス?を見かけたこともあるが
亜沙希はそれには気付いていないようだった。
ライブ予定などは今でもブログに書いているので
わざわざ電波全開のつぶやきを見る気はしなかった。
このスレを立てるにあたって久しぶりに亜沙希のページを見た。
時々twitterにいる糖質入ってるメンヘラっているじゃないですか?
あんな感じで私が一度も亜沙希にリプライしないことを
twitter本体のプログラミングがおかしいとか
問い合わせしまくっているが返信が一度も来ないことにキレていた。
私は天才プログラマー(笑)だから私を雇えば(ryとか妄想も相変わらずだった。
それだけでなく中学の卒アルや亜沙希の近所に住む私と同じ高校に行った子に頼んで
図書室の卒アルから写メってきてもらった高校の卒アル写真や大学の時に盗撮した写真。
それらをオカズに自慰していることを普通に書いていた。
マヤちゃんの手があたしのなかに入ってきてぐしょぐしょだよぉ…
マヤちゃんの胸ちゅーちゅーとか本当にやめてほしい。
去年の暮れあたりに話題になったスピッツのボーカルのス㋣ーカーみたいな感じだった。
私の写真を並べてる画像をうpして、
こんな感じでマヤちゃんに囲まれてヤってますと言われても困る。
写真にキスしている自撮り画像を
無駄に高画質でうpされたときはどうしようかと思った。
いつの間にか合計ツイート数は私への字数制限ぎりぎり
長文リプライがほぼ100%で7万を超えていた。
自分では頻繁につぶやいているなと思っているライブ用の垢でさえ
登録900日弱でまだ6000ちょいなのにお前はbotかよ。
というわけで今現在は私は見ていないのに
毎日twitterで長文リプライをすることで粘着している状態。
振り返るとweb日記、携帯サイト、mixi、ブログ、twitterと
何となくネット上の流行?に乗っているなと自分でも思う。
亜沙希はFacebookも登録していて、私は生年月日も名前も性別も全部偽って登録している。
出身地を地元にしたところで該当者が何百人もいる状態なので亜沙希にも特定されていない。
いっそのことtwitterも垢消して逃亡したらいいのにと思う方が多そうですが
そうしたら今度は探偵や興信所を使ってでも私の住所を見つけにかかってきそうなので
亜沙希の私との唯一の接点というか依存?の場として
このまま現状維持でいこうかなと思っています。
ブロックしていたらタイムラインに亜沙希のつぶやきは出てこないし
ページさえ見なければ実害もない。
今までに比べたらもう夢のような毎日です。
これからも私は全然見ていないのに長文で書き込み続ける日々は続いていくと思います。